サクラ‘八重山古志’
接ぎ木三年目のサクラ‘八重山古志’がたくさん花を咲かせました!
このサクラはオオヤマザクラかヤマザクラの変異とされ、濃いピンク色の花びらが12枚あるのが特徴です。(今年咲いた花はピンク色が薄いですが)
2000年に森和男氏(東アジア野生植物研究会)や山口清重氏(ザ・ヤマグチ プランツマンズ ナーセリー)らによって新潟県山古志村で発見された新種のサクラですが、2004年10月の新潟県中越地震の崩落によって原木が消滅してしまっています。
原木は田んぼの脇に立っていて、高さ15mほどもある大木だったそうです。(山口清重氏談)
原種はオオヤマザクラかヤマザクラとされていますが、オクチョウジザクラと記載されているウェブサイトも見受けられるので、サクラの専門家に写真鑑定をお願いしたところ、“パッと見は‘高砂’に見えます”とのお返事をいただきました。
個人的な見解としては、原木が高さ15mほどもあったことからオオヤマザクラの変異の可能性が高いように思いますが、花が咲いた後から葉が展開するので、単純にオオヤマザクラの八重の変異とは考えにくく、他種も交雑しているような気がしています。
いずれにしろ、とても魅力的なサクラなので、毎年継続的に繁殖していこうと考えています。
オオヤマザクラ (Cerasus sargentii) 花弁:5枚 花径3.2~4.2㎝ |
北海道から本州・四国およびロシア極東部・朝鮮半島の冷温帯に分布している種。花が紅色なので「紅山桜」、北海道に多いことから「蝦夷山桜」とも呼ばれる。落葉樹林中で樹高が20m超える大木となり、雪や寒さに強い。ヤマザクラよりも花弁は大きく、観賞価値も高い。若芽はヤマザクラなどと同じく開花と同時に伸びる。また、芽の鱗片が濃紅紫色で著しく粘るという特徴があり、指先でつまんでみるとべたべたする。ヤマザクラではこの特徴は見られない。 |
ヤマザクラ (C.jamasakura) 花弁:5枚 花径:3.0~4.0㎝ |
東北南部から九州の暖温帯に分布する種。白い花と同時に赤褐色の若芽が伸びる。江戸時代末期にソメイヨシノが現れ、明治期に広がるまでの桜と言えばこのヤマザクラのことであった。ヤマザクラはエドヒガンに次いで寿命が長く、大木になるものが多い。 |
オクチョウジザクラ (C.apetala var.pilosa) 花弁:5枚 花径:1.6~2.4㎝ |
本州の日本海側に分布する種で、チョウジザクラの変種とされる。多雪地域の環境に適応しており、樹高は低く冬季は雪の下に埋もれる。チョウジザクラと比べると小花柄や萼筒の毛が少なく花弁が大きい。チョウジザクラと同じようにエドヒガンよりも早く咲くが、花が大きいので栽培されることもある。 |
高砂 (C.sieboldii cv.Caespitosa) 花弁:10~15枚 花径4.0~4.8㎝ |
チョウジザクラと淡紅色重弁の花を持つサトザクラの1品種との間に生じた雑種と考えられている。萼筒や成葉に毛が多く、栽培品種としては珍しくチョウジザクラの影響が見られる。花期が他の重弁の品種より早いこともチョウジザクラの特徴。丸い花弁は外側は紅色であるが、内側は淡紅色となる。 |
※「日本の桜」勝木敏雄著・学研、「週間 朝日百科 植物の世界」朝日新聞社より作成