ウツギ:境木(さかいぎ、境界樹)としての利用

今、ウツギ(Deutzia crenata)の花が満開です!
毎年5月20日前後に満開になります。
ウツギ古くからウノハナの名で親しまれ、万葉集や古今集などでも歌に詠まれています。
ごく普通にあって見慣れていますが、よく見るとなかなか綺麗な花です。
ウツギ ウツギこのウツギは、関東では畑の境木(さかいぎ、境界樹)としてよく利用されていますが、それは次の二つの理由からです。
①強い刈り込みに耐え、次々と幹を出して長い間生き続ける
②深根性で枯死しても地下の根株が永く残る

強い刈り込みに耐える必要があるのは、畑に植えられるので、作物に大きな陰を作らないように常に刈り込まれて低く維持されるからです。
そして、寿命が永くなければ、境木としての機能を果たせなくなってしまいます。
また、もし枯れてしまっても、いつまでも根株がそのまま朽ち果てずに残っていれば、枯れた後もなお境木としての機能を果たすことができます。
参考までに、「樹木大図説」(上原敬二著)には次のような記述があります。

“著者は自庭の一部に直径4㎝の株立ものが境界樹としてあったのが枯れ、その後15年を過ぎて界石を入れる必要上その位置を掘って見たところ地下に枯死した古株がそのまま朽ちずに残っていたことを知った経験をもっている。”

いつ頃からこのように利用されてきたのかは分かりませんが、昔の人は樹木の性質をよく理解して上手に活用していたと、いつもながらに関心してしまいます!

ウツギ‘マギシェン(マジシェン)’ウツギの交配品種でピンクの花を咲かせるマジシェン(Deutzia hybrida‘Magicien’)も綺麗に咲いています!

この品種の来歴は、正確なところは分かりませんでしたが、中国の雲南省から四川省にかけての湿った温帯林の縁に生えてピンクの花を咲かせるウツギの仲間「ドイッチャ ロンギフォリア(Deutzia longifolia)」の交配であることは間違いありません。