ヤマボウシ‘紅富士(ベニフジ)’
ヤマボウシ‘紅富士(ベニフジ)’(Cornus kousa‘Benifuji’)が今年も見事に咲きました。
とても美しい紅花のヤマボウシです。
この紅富士は、静岡県駿東郡(富士山の南東側で富士山と箱根に挟まれた地域)にあるヤマシタナーセリーの山下信夫氏の作出による品種です。
紅富士の作出の経緯や作出までの苦労話などを詳しく知りたくて、実際に山下さんをお訪ねしてお話を伺ってきました!
紅富士の原木(Mother tree)にも会ってきました-!
(作出の話を聞きに訪ねてきたのは私がはじめてだと言われました:笑)
紅富士ができるまで、およそ25年の歳月が費やされたそうです。
はじめは富士山南東面の山中に自生するヤマボウシの中から開花時にやや紅色に色付く個体を選び出し、その個体から毎年種子を採取して発芽させ、実生選抜を数年繰り返したそうです。
選抜の基準は、発芽時の葉の色が赤銅色で小葉のタイプのものに限ったとのことです。
赤銅色の葉の個体は、植物体そのものが赤い色素を持っていて、花も赤くなる可能性が高いということからです。
小葉のものを選抜した理由は、ヤマボウシの木姿がより美しく見えることからだそうです。
この基準をもとに、発芽した苗から有望と思われる個体を毎年100本ずつほど残して、開花するまでの約8年間育て続けるということを繰り返した結果、濃い赤に咲く‘紅富士’が出現したそうです。
そして1996年8月に種苗法による品種登録(特許認定)がされたのです。
命名は、富士山で採取した種子からはじまったので、富士山に因んで‘紅富士’としたそうです。
・‘紅富士’の原木(Mother tree)
紅富士の原木(Mother tree)と対面した時は、思わず感動して、幹に手を当てて心の中で“ありがとう”とつぶやいてしまいました。
そして25年もの永い間、作出できるという保証もない中、挑み続けた山下さんの情熱にただただ頭が下がる思いがして、感激しながらお話を聞かせていただきました。
紅富士は「植木の神様」から山下さんへの贈り物に違いありません!
紅富士は白花の普通種と並べて植えるとより一層栄えて見えます。
是非とも、紅白のヤマボウシをセットで植えて楽しんでみてください!
(取材日:2015年6月13日)
※関連ブログ:「ヤマボウシ‘サトミ’と‘紅富士(ベニフジ)’」(こちら)