三度栗(サンドグリ)

今春接いだ三度栗(サンドグリ:Castanea crenata cv.)がよく結実しています。
一年に三回実を着けるという意味に取られがちですが、実際は夏から秋まで花が咲き続けて、連続して実が着きます。
三度栗(サンドグリ)三度栗(サンドグリ)三度栗(サンドグリ)については、昔から各地で名物として伝えられているものがたくさんあって、いろいろと書かれていますが、大きくは次の二つのタイプがあるようです。
①返り咲き式に気候により幾度か結実するもの
②かかる性質の固定したもの
(「樹木大図説Ⅰ」上原敬二著より)

牧野富太郎博士は、土佐の三度グリについて「植物一日一題」(ちくま学芸文庫)の中で詳しく述べていますが、ここで書かれているのは①のタイプです(管理の影響による)。
一方、現在、三度栗(サンドグリ)として流通している品種は②のタイプで、気候や管理に左右されず、毎年たくさん実を着ける性質を持っています。
ただ、詳細な来歴は分からず、学名も記載されているものを見たことがありません。

最近では、特に実付きのよい品種(サレヤロマン、秋彩など)や、鮮やかな紅色のイガの品種(紅珠)なども出てきているようです。(私はまだ実物を見たことがありませんし、作出の経緯も情報未入手です)
いずれにしろ、秋の季節感を演出してくれる魅力的な樹木の一つです!

因みに、クリは虫媒花で蜜源植物なため、ハエの仲間や甲虫類などが多く集まります。
花穂は、雄花穂だけのものと、雄花穂の下部(元部)に雌花をつけるものがあって、開花が終わると雌花の付け根の部分で雄花穂だけ落下し、雌花は果実として成熟していきます。
三度栗(サンドグリ)・花穂の元にある2つの花が雌花で、その先は全て雄花
三度栗(サンドグリ)・雌花が結実して膨らんできた
マメコガネとクロコガネ・蜜に誘われてやってきたマメコガネとクロコガネ(害虫:解説はこちら

※関連ブログ:「咲き続ける三度栗(サンドグリ)」(こちら