先週末(2016/5/28,29)、「花木よろずサミット」メンバーの諸先輩方と山梨県甲州市(旧大和村)の南大菩薩連嶺(湯ノ沢峠~大蔵高丸~ハマイバ丸:現、甲州アルプス)に登ってきました。
ここは知る人ぞ知るムシカリ(オオカメノキ)の大群生地で、20年ほど前までは、花の季節になるとムシカリの花で山が真っ白に彩られたほどだったそうです。
ムシカリの花 ムシカリの花・ムシカリの花(2016年4月、別の場所で撮影)

南大菩薩連嶺・南大菩薩連嶺のムシカリ

花の時期は過ぎていたものの、たくさんのムシカリに出会えるだろうとの微かな期待を胸に湯ノ沢峠から登り始めたのですが、その現状は惨憺たるもので見るも無惨な状況でした。
その原因は、シカの食害です。
ムシカリは登山道の尾根道沿いにかなりの密度で生えているのですが、そのほとんどの個体の樹皮が食いちぎられていました。
完全に枯死してしまったものも多く、また、辛うじて生き残っていても樹皮をぐるりと一回り剥がされて樹勢の弱ってしまったものや、幹が枯れた後、新しくヒコバエを伸ばしてきたのに、さらにかじられてしまったもの、など被害は甚大です。
南大菩薩連嶺 南大菩薩連嶺 南大菩薩連嶺 南大菩薩連嶺 南大菩薩連嶺被害を受けていない個体を見つけることは、ほとんど不可能でした。
シカは、ムシカリが大好物のようです。
他に害の大きい樹種は、カエデ類(ウリハダカエデ等)、マユミ、フジイバラなどでした。
南大菩薩連嶺・枯死したマユミ(右側)

行政もシカ対策を講じているようですが、その対象は、時々散見されるスズランの自生地のみで、そこだけがネットで囲われてシカが侵入しないようにガードされていました。
南大菩薩連嶺 南大菩薩連嶺・スズラン自生地を保護するネット

南大菩薩連嶺の環境と景観の形成に大きく寄与しているムシカリや、この地域固有のフジイバラなどが保護対象になっていないのは、片手落ちのように思えてなりません。
このまま放置しておけば、いずれ近い将来、これらの山からムシカリは姿を消してしまうであろう(絶滅)と懸念されるほどの惨状でした。

シカによる自然破壊は全国各地で問題となっていますが、その被害の甚大さや緊迫感はあまり伝わってきませんし、ニュースなどで取り上げられることも滅多にありません。
このままでは取り返しのつかない状況に陥ってしまいます(すでに遅いかも)。
今回訪れた南大菩薩連嶺では、生息密度管理などのシカ対策を講じつつ(難しいことですが…)、さらに自生するムシカリから後継樹を作り(実生繁殖)、植え戻すという復元対策が必要になってくるのではないかと痛感しました。
何とか対策を講じて、本来の自然を守っていくことはできないだろうかと、胸を痛める山行となりました。

南大菩薩連嶺・ハマイバ丸付近から富士山を望む