エゴノキの園芸品種④:ガンボクエゴノキ

ガンボクエゴノキ(Styrax japonicus f.zigzag)という名を聞いたことのある人は、とても少ないのではないでしょうか。
岩手県一関藤沢町大籠に、エゴノキの突然変異種で“世界に1本の木”として県の天然記念物に指定された珍木があります。
この木は枝が節ごとにジグザグと折れ曲がり、その様子が雁の群れ(雁行)のように見えることからガンボク(雁木)と名付けられたそうです。
また、花が全て八重咲きであるという特徴もあるようです。
初代木は残念ながら推定樹齢100年ぐらいで1972年に枯死してしまって、現在残っているのはヒコバエが伸びてきたものだそうです。

この木をはじめて知ったのは、「新日本樹木総検索誌」(杉本順一著 井上書店)でエゴノキの品種を調べていた時です。
学名が「Zigzag」(ジグザグ)で“枝雁木曲”とあったのでとても印象に残ったのです。
その後「樹木大図説」(上原敬二著 有明書房)にも載っていたので、ずっと気になっていました。
そして、師匠の柴道昭氏もよく知っていて、大籠のガンボクエゴノキとは別ですが、同じ岩手県盛岡市内のとあるお寺に、やはりよく枝の折れ曲がるエゴノキがあって、その実生苗を入手して育てているのです。
下の写真はその実生苗です。(葉のない時期、3月に撮影)
こちらは花はやや小さめで一重咲きですが、毎年たくさん咲くそうです。
販売に向けた繁殖は行っていないのですが、枝の形がユニークなことと、あまり大きくならずに矮性の特徴もあるようなので、リクエストして殖やしていただきたいと思っているところです。
ガンボクエゴノキガンボクエゴノキ※関連ブログ
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