アオキの花

ハウス内でアオキ(Aucuba japonica)が花を咲かせています。
雌雄異株で雄株と雌株で違った花を咲かせます。
目立たない花ですが、よく観察するととても興味深いです。
アオキ(雄花)・雄花:雄花には雄しべが4個あり、雌しべは退化しています。

アオキ(雌花)・雌花:雌花には雄しべがなく、雌しべが1個あるだけです。この花を咲かす株にしか実はなりません。

日本の固有種で、関東地方以西の照葉樹林やスギ植林の林床にごく普通に生育し、庭木としても広く植えられています。
常緑の葉と赤い実を鑑賞するため、世界各地で観葉植物として植えられていて、日本よりも外国で多く用いられています。
特に緯度の高いヨーロッパでは、耐寒性・耐陰性のある貴重な常緑樹の一つとして人気が高く、冬に大きくて美しい赤い実を付けるのも大きな魅力になっています。
果実は長楕円形で、長さ1.5~2cm、秋に赤く熟し、翌年の4月頃まで残っているので、永く楽しむことができます。アオキの果実

アオキの和名は、枝が青いことに基づいて付けられたとされています。
また、学名は「Aucuba japonica」ですが、これは江戸中期(18世紀末)にツンベリー(ツンベルク)が来日した時、この樹木が“アオキバ”と呼ばれていた(関西地方)のを聞いて、この学名(Aucuba=アウクーバ)ができたと言われています。

ヨーロッパには1783年に渡っていますが、この時のものは雌木のみで雄木がなかったために結実せず、プラントハンターのロバート・フォーチュン(Robert Fortune、1812~80)が1860年に来日して、雄木をイギリスに送って、先に渡っていた雌木に大きな赤い実をならすのに成功したことは有名な話です。
斑入りダルマアオキ・斑入りダルマアオキ

アオキは個体変異が多く、自然界でも様々な斑が入るものを見ることができますし、古く江戸時代などから選抜されたすばらしい斑入り品種なども多数あります。
アオキは見慣れた植物だと思いますが、日本固有の魅力的な植物の一つとして、改めてスポットを当てて大事に使っていきたいものです。

参考:「樹木大図説」上原敬二著、有明書房、「週間 朝日百科 植物の世界」朝日新聞社