アマミアセビ

〈2016年3月に「琉球アセビ」で紹介させていただきましたが、アマミアセビの間違いでした。修正して再アップさせていただきます。〉

懇意にさせていただいている植木生産者の畑で、サクラの花に先駆けて、アマミアセビ(Pieris amamioshimensis)が綺麗な花を咲かせていました!
リュウキュウアセビ・千葉県野田市 2016/3/12撮影

アマミアセビは、長い間リュウキュウアセビと同種とされてきましたが、2010年に別種であることが発表され、奄美大島の固有種としてこの名前が付けられました。
リュウキュウアセビが渓流沿いに生育するのに対して、アマミアセビは山頂近くの岩場に生育し、葉は少し幅が広く、鋸歯が目立たず、花冠が大きくて美しいという特徴があるようです。
どちらのアセビも、アセビの仲間の中では花が目立って大きく、鈴生りになって咲くのでとても目立ちます。
そのため、両種とも栽培用に激しく採取されてしまい、自生はほとんどなくなり、絶滅の危惧に瀕しています。
因みに、リュウキュウアセビは、環境省レッドデータによると「野生絶滅」とされ、アマミアセビは「鹿児島県指定希少野生動植物種」に指定されています。
とても残念なことです。
そんな状況の中、アマミアセビに関しては、かつて採取され栽培されている個体から挿し木繁殖して、そのできた苗を奄美大島に植え戻すという取り組みが行われているようです。
今後は、写真の株を保有している生産者と相談の上、繁殖に取り組むととともに、植え戻す活動にも協力させていただくことを前向きに検討していきたいと思います。

なお、アセビの仲間(アセビ属)は、ヒマラヤを含む東アジアと北アメリカ東部、キューバに分布していて6種が知られています。(「週間 朝日百科 植物の世界」より)
品種も、赤花のものや花穂の長いもの、斑入り葉品種や新芽が赤くなって展開するものなど様々です。
アセビは、陰樹で暗い環境でも平気で育ち、乾燥にも耐えます。
都市部のビルの北側など、他の植物があまり生育できない場所に有効な樹種です。
もっともっと広まって欲しいと思っている好きな樹木の一つです!リュウキュウアセビ リュウキュウアセビ
█アセビ属一覧

 種 名 学 名 分布、特徴等
アセビ Pieris japonica 本州の東北地方以南と四国、九州に分布する。花は下垂して咲く。葉の上半分に鈍い鋸歯がある。
ヤクシマアセビ P.japonica var.yakushimensis アセビの変種で、鹿児島県屋久島の山地に見られる。花序が直立する。
リュウキュウアセビ P.koidzumiana 沖縄の渓谷に生え(野生絶滅)、葉の上部3分の1にだけ鋸歯があり、花が大きく長さ1㎝ほど。
アマミアセビ P.amamioshimensis 奄美大島の山の岩地などに生え、鋸歯が目立たず、花冠が大きく美しい。そのため、自生種のほとんどが採取されてしまい、自生している個体はわずかとなっている。
アメリカアセビ  P.floribunda 北アメリカ原産で、アレゲーニー山脈(アメリカ合衆国とカナダ東部に連なる長大なアパラチア山脈の一部)地方に多い。栽培品も多く、昭和初年に日本に入る。(「樹木大図説」より)
ヒマラヤアセビ  P.formosa 中国西南部からヒマラヤ中腹の照葉樹林に生える。アセビに似るが、葉には基部まで細かい鋸歯があることで区別される。
タイワンアセビ  P.taiwanensis 台湾の高山(標高1,500~3,000m)に自生する。

注:アマミアセビを追加して7種

※参考、引用:「ネイチャーガイド 琉球の樹木」大川智史・林 将之著、文一総合出版、「週間 朝日百科 植物の世界」朝日新聞社