シデコブシの自生地を訪ねて
先週の土曜日(2016/4/9)に、ヤマシタナーセリーの山下信夫氏(ヤマボウシ‘紅富士’作出者)と一緒に、岐阜県瑞浪市の山口清重氏(ムシカリ‘ピンク パラソル’、マルバノキ‘恵那錦’等の作出者)を訪ねて、シデコブシ(Magnolia stellata)の自生地を案内していただきました。
シデコブシは日本の固有種で、愛知県、岐阜県、三重県の一部のごく限られた場所にしか分布しない貴重な樹木です。
日本の固有種でありながら、マグノリアの園芸品種の改良親となって、世界中のマグノリア愛好家の目を楽しませてくれています。
シデコブシが存在しなかったら、現在の多様なマグノリアの園芸品種はできていなかったことは間違いありません。
これまでに世界中の著名な植物学者がシデコブシの自生地を訪れている、ということにも頷けます。
・周囲の植物に被圧されて、弱ってきているシデコブシ
主な生育場所は、丘陵地域の水が浸み出すような湿地や、丘陵に入り組んだ谷津田の周りの斜面下部の湿った環境です。
しかしながら、シデコブシの自生していた湿地の多くはゴルフ場建設や土地造成などによって消滅し、自生地は激減してしまっています。
そして、谷津田は耕作放棄されて、その周辺樹林も管理されなくなって藪と化し、繁茂してきた他の植物によって被圧され、惨憺たる状況になっているという印象を強く持ちました。
シデコブシを守っていくには、自生地を保護するだけでなく、適正な管理も平行して行っていくことが不可欠だと、自生地を見て痛感した次第です。
シデコブシは日本の固有種で、しかもその生育地がごく一部の地域に限られています。
世界中で日本のごく限られた場所にしか自生していないのです!
これは「日本の宝」であるばかりでなく、「世界の宝」と言っても過言ではありません。
現在、シデコブシの保護がどのように行われているかは分かりませんが、現状を詳細に把握した上で、適正な保護・管理計画を立案し、具体的に活動していくことが急務であると強く感じました。
絶滅してしまってからでは、遅いのですから。
※シデコブシだけでなく、同様にこの地域に限定して自生しているハナノキやヒトツバタゴの保護も、確実に進められることを願ってやみません。