カリカンサス‘ハートレッジ ワイン’

すでにピークは過ぎてしまいましたが、カリカンサス‘ハートレッジ ワイン’(Calycanthus‘Hartlage Wine’)がワイン・レッドの美しい花を咲かせています。(ロウバイの仲間です)
これから普及していって欲しいと思っている期待の樹木です!
カリカンサス‘ハートレッジ ワイン’ カリカンサス‘ハートレッジ ワイン’この品種はアメリカのノースカロライナ州立大学付属のJCロールストン(James Chester Raulston)植物園で、1991年に学生のリチャード・ハートレッジ(Richard Hartlage)がナツロウバイ(Sinocalycanthus chinensis)とクロバナロウバイ属の一種カリカンサス・フロリドゥス(Calycanthus floridus)を交配して作出したもので、彼の名と花の色(ワインレッドカラー)に因んで命名されています。
花の色はクロバナロウバイの色を強く継承してワイン・レッド(ナツロウバイの花の色は白)、花の大きさはナツロウバイのような巨大輪の特徴を持っています。
両種のいいとこ取りをした交配種と言ったところでしょうか。
花の寿命は永く、開花してからしばらくの間楽しめます!
ただ、残念なことにロウバイの仲間の大きな魅力である花の香りについては、香りのないナツロウバイの血を引き継いでしまったようで、ほとんど香りません。
樹高は、地植えして伸び伸びと育てると株立ち状になって、3~5m程度に生長します。
カリカンサス‘ハートレッジ ワイン’この品種は、日本では商標登録されていて、登録者は埼玉県川口市の植木生産者のスペシャリストが中心となって結成された集団:「変人会(Crazy of Plants)」(任意団体)です。カリカンサス‘ハートレッジ ワイン’ラベル

なお、ロウバイの仲間(ロウバイ科)は、落葉性または常緑性の低木または小型の高木で、3属5~9種からなる小さな科で、以下のように分類されます。

■ロウバイ科 Calycanthaceae

属名 分布 特徴等
ロウバイ属
Chimonanthus
中国 ロウバイ属は2~6種からなり、落葉または常緑の低木。
ロウバイC.praecox)は高さ2~4mになる落葉低木で中国中部に分布する。
12~2月に葉が出る前に直径約2㎝の香りのよい黄色の花を下向きまたは横向きに開く。
日本には江戸時代初期に渡来。
花が大きく、内側の花被片も黄色いソシンロウバイなどの園芸品種もある。
クロバナロウバイ属
Calycanthus
北アメリカ 次の2種からのなる。
・西海岸のカリフォルニア州に固有のカリカンサス・オッキデンタリスC.occidentalis
・東部の混交落葉樹林に固有のカリカンサス・フロリドゥスC.floridus
この属の種は高さ約3mになる落葉性の低木で、花は直径5~7.5㎝、花被片は暗紫紅色で、雄しべは10~20本とロウバイ属よりも多い。
開花期は5~6月。
アメリカ先住民は、カリカンサス・フロリドゥスの樹皮、葉および根を薬用とし、すりつぶした樹皮を香辛料として用いた。
2種ともに花の香りが好まれて、園芸的に人気が高まっている。
ナツロウバイ属
Sinocalycanthus
中国中部の浙江省のみ シノカリカンサス・キネンシスSinocalycanthus chinensis)だけからなる単型属。
高さ1~2mの低木。
花に香りはない。雄しべは18~19本ある。
花の色は白く、花径は6~7㎝ぐらいあって大きい。
開花期は5~6月。
中国名は夏梅(シャラメイ)。

※「週間朝日百科 植物の世界」を参考に作成