ヤブデマリ‘ラナース(Lanarth)’

今年の春に一目惚れして、繁殖をお願いしていたヤブデマリ‘ラナース’(Viburnum plicatum var.tomentosum‘Lanarth’)の挿し苗が届きました!
ヤブデマリ‘ラナース’(Lanarth)ヤブデマリは、本州の関東以西、四国、九州、朝鮮半島南部、中国に分布し、丘陵地や雑木林の少し明るい林内や渓流沿いに見られる落葉低木(小高木)で、他の低木よりも湿った半日陰の肥沃な場所を好みます。
5~6月によく目立つ白い花を咲かせ、開花時に雑木林の中で出会うとかなり感動します!
その目立っているのは周辺部についている装飾花で、雄しべも雌しべも機能しない中性花です。
因みに、アジサイの仲間も装飾花を持ちますが、これは花冠ではなく「がく片」が発達したものなので、ヤブデマリの装飾花とは異なります。
ヤブデマリ‘ラナース’(Lanarth)・2016年5月5日 千葉県八街市にて撮影

‘ラナース’はこの装飾花が特に大きな選抜品種です。
1930年以前に、イングランド南西端のコーンウォール州にあるガーデン・ラナース(Lanarth,Cornwall,England)で、実生選抜によって作出されました。
そのガーデンはP.D. Williams (1865-1935)によって作られたお庭で、‘ラナース’も彼によって作出された品種で、お庭の名前を品種名として付けてもらったようです。
ヤブデマリは日本では身近に見られるためか、あまり庭木として利用されていませんが、欧米では人気の高い花木です!
とりわけ‘ラナース’のように大きな装飾花を持つ選抜品種は好んで植栽されているようです。(他にも装飾花の大きな‘Shasta’などの品種あり)
ヤブデマリ‘ラナース’(Lanarth) ヤブデマリ‘ラナース’(Lanarth)‘ラナース’は欧米で「日本のヤブデマリの品種」として紹介されているので、おそらく日本から渡ったヤブデマリが親で、その実生変異でできたのだと思われます。
そんな日本由来(間違いないと思います)の魅力的なヤブデマリの品種を是非とも日本でも広めていきたいと思っています!

追記:挿し木繁殖だと初期成長が遅いので、来春ガマズミに接ぎ木してみようと思っているところです。
ヤブデマリ‘ラナース’(Lanarth)【補足】
ヤブデマリには変異が多く、静岡県以西の本州南西部から四国、九州では全体に小形のコヤブデマリ(var.parvifolium)が見られ、本州の日本海側には、葉が大きく、毛がほとんどないケナシヤブデマリ(var.plicatum f.glabrum)があります。(「週間 朝日百科 植物の世界」より)

※参考、引用:「週間 朝日百科 植物の世界」朝日新聞社、「日本の樹木」山と渓谷社、「フィールド百花 野の花2」大場達之、平野隆久著、山と渓谷社