ネムノキ‘サマー・チョコレート’
ネムノキの品種に銅葉の‘サマー・チョコレート’(Albizia julibrissin‘Summer Chocolate’)があります。
とても美しい紫色を帯びた葉が魅力的な品種です。
この品種は、千葉大学名誉教授・故横井政人先生が1990年に見い出し、命名して世に送り出したものです。
詳しい来歴については、同じ千葉大学名誉教授の安藤敏夫先生(現・ガーデンそよかぜ代表)が横井先生から直接聞いていて、その内容を教えて下さいました。
“サカタのタネの長後農場(藤沢市)を横井先生が訪ねた時に農場に植わっていた。職員の一人が山中(具体的な場所は不明)で見つけて採取(山取り)して畑に植えていたものだった。おそらく売れないだろうとの上司の判断によって廃棄される直前だったのを横井先生が譲り受けた。それに‘サマー・チョコレート’と名付けて世に広めた。植物の品種名に‘チョコレート’と付けた前例がなかったので、横井先生もだいぶ勇気がいったようだったが、審査が通っていざ命名してみると、その名前も好評で人気が出たようだ。”(安藤先生 談)
‘サマー・チョコレート’は横井先生と親交のあったアメリカ人のアジア植物研究家のBarry Yinger(バリー・インガー)氏が2000年にアメリカに紹介し、2003年に米国植物特許を取得して、アメリカでも大人気となったようです。
ネムノキは接ぎ木が難しく、根伏せ繁殖(※1)やメリクローン培養(※2)の苗がわずかに流通している程度ですが、接ぎ木方法が解明できたので、これから毎年コンスタントに繁殖していく予定です。
乞うご期待!
※1:根を短く切って土中に埋めて、発芽、発根させる挿し木の一方法
※2:茎頂培養によって栄養繁殖させる方法。またそれによってできた育成苗
※関連ブログ:「ネムノキの接ぎ木方法解明!」