オウゴンホリー(Ilex‘Whoa Nellie’)

園芸品種のギャラリーの写真で「オウゴンヒイラギ」と紹介しましたが、正式にはホリーの仲間(モチノキ科)で、アメリカで品種改良されたIlex‘Nellie R. Stevens’の突然変異の黄金葉の品種です。(注:ヒイラギはモクセイ科)
Exif_JPEG_PICTURE そもそもIlex‘Nellie R. Stevens’とは、西洋ヒイラギ(Ilex aquifolium)とシナヒイラギ(チャイニーズホリー:Ilex cornuta)を掛け合わせて作られたハイブリットです。 西洋ヒイラギは夏の暑さに弱いのですが、シナヒイラギと掛け合わせて作られた‘Nellie R. Stevens’は夏の暑さに強い上に乾燥にも強く、きれいなピラミッド型の樹形に成長するので、アメリカで広く普及していて、今ではイギリスでも一般的になってきています。

本種はその黄金葉の突然変異で、アトランタにあるジョージア大学の園芸学教授:Prof.Dirr(Mr.Michael A.Dirr)によって作出された品種なのです。 そして写真の樹木は、2001年(平成13年)にアメリカのナーセリー視察ツアーで、Prof.Dirrを訪ねた時にいただいた枝を、日本に持ち帰って挿し木して繁殖した個体から作ったものなのです。 2001年当時はこの黄金葉の品種に名前は付けていないとのことだったのですが、インターネットで調べてみると、今では「Ilex‘Whoa Nellie’」と命名されて販売されているようです。

Exif_JPEG_PICTURE この品種は、新しい葉は見事な黄金色で、年が経つにつれて濃緑色に変化していきます。特に日当たりの良いところできれいな黄金色の葉を展開します。 そして、秋から冬にかけて赤い実をたくさんつけるので、この時期にとても見応えがあります。(春の新葉も美しいです!) 一般にIlexの仲間は雌雄異株で、この品種は雌木です。そして雄木が近くになくても実をつける性質(単為結果:受精しなくても果実を形成する)があるので、とても育てやすいです。
また、耐寒性も高く、冬にマイナス5℃まで下がる圃場のある茨城県つくばみらい市でも露地で生育しています。 ただ、アメリカではほとんど病虫害の被害はないとのことですが、日本ではハマキムシが新しい葉によくつくのと、カイガラムシもつくことがあるので注意が必要です。カイガラムシがつくとスス病も発生して汚くなるので気をつけたいところです。 その他は特に土質も選ばずとても育てやすく、一年中きれいな黄金葉を展開してくれるので、是非お薦めしたい魅力的な樹木の一つです。
オウゴンホリー(Ilex‘Whoa Nellie’)※関連ブログ:「オウゴンホリーのクリスマス・デコレーション」(こちら

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