アメリカハナズオウ‘フォレスト・パンシー’

前回の黄色のカラーリーフのお薦め「イギリスナラ‘コンコルディア’」に引き続いて、紫色(赤紫色)のお薦めの樹木を紹介したいと思います。
それはアメリカハナズオウ‘フォレスト・パンシー’(Cercis canadensis‘Forest Pansy’)です。
アメリカハナズオウ‘フォレスト・パンシー’日本には中国原産のハナズオウ(Cercis chinensis)が、江戸時代初期(1695年:元禄八年の「花壇地錦抄」に記載あり)に渡来していますが、これは低木状(分幹する)で高さが5m以下であるのに対して、アメリカ中部原産のアメリカハナズオウ(Cercis canadensis)は7~8mに達する高木性の樹木です(こちらは明治28年以前に渡来)。
中国原産のハナズオウは、数本の幹を株立ち状に伸ばす樹形になりますが、アメリカハナズオウは主幹が1本まっすぐに立ってきます。
日本ではハナズオウが普及しているので、高木になるアメリカハナズオウは印象が大きく異なるかもしれません。
「フォレスト・パンシー」は、そのアメリカハナズオウの赤紫色の葉を持つ品種なのです。
春の鮮やかな赤紫色の葉はとても美しく、カラーリーフの樹木を代表する品種と言っても過言ではありません。
そしてハート型の葉の形も可愛らしく、これも大きな魅力です。
Exif_JPEG_PICTURE赤紫色の葉は夏には緑色に変化してきますが、夏の終わり頃に二次伸長で展開する新しい葉も春と同じような鮮やかな赤紫色で、秋にはさらに赤味が増してきれいに色づきます。
明るい緑の落葉樹や黄色のカラーリーフの樹木と合わせて植栽すると、赤紫色の葉が一層引き立ちます。
樹形はやや横に広がるので、スペースに余裕のある場所にシンボルツリーとして植栽すると効果的です。
アメリカハナズオウ‘フォレスト・パンシー’繁殖は接ぎ木で、夏の芽接ぎと春の切り接ぎの両方が可能ですが、活着率を高めるのは簡単ではありません。
台木は、中国原産のハナズオウに接ぐと台負け(接いだ穂木の生長に台木がついていけずに接ぎ木部が折れたりすること)するのではないかと心配して、我が社ではカナダからアメリカハナズオウの種子を輸入して台木を作り、それに接ぎ木しています。
繁殖が難しいので、流通量も少ないですし、値段も高めです。
たくさんの人達に楽しんでいただけるように、これから販売・普及していきたいと思っています!

参考:「樹木大図説」上原敬二著 有明書房