ツクバネウツギ
一昨年挿し木繁殖したツクバネウツギ(Abelia spathulata)が開花しました!
本州、四国、九州の丘陵地や山地の林内や林縁に普通に見られる日本に自生するアベリアです。
「アベリア」というと公園の生け垣や道路の植樹帯に植栽されるハナゾノツクバネウツギ(A.×grandiflora)が頭に浮かぶと思いますが、それは中国産のアベリア・キネンシス(A.chinensis)とアベリア・ウニフロラ(A.uniflora)を交配して作られた園芸種で、大正時代に日本に渡来したものです。
園芸種のアベリアは、冬でも完全に葉を落とさない半常緑性で、ほとんど一年中開花(最盛期は5~11月)しています。
そして、炎天下や排気ガスの激しい場所など過酷な環境でも元気に育つので、植栽によく利用されています。
一方、日本に自生するこのアベリア(ツクバネウツギ)は、特に際立った特徴がないからか、ほとんど植栽されていないので、あまり馴染みがないかもしれません。
落葉性で秋には葉を落としてしまいますし、花は4~5月の間に咲いて終わってしまいます。
自生では比較的日当たりのよい場所で見掛けますが、一日中陽の当たる炎天下に置くと、葉が傷んでしまいます。
このように書くと、良いところが全くないように思えるかもしれませんが、愛らしい風情があって、さりげない魅力が感じられます。
林の中ではほとんど目立ちませんが、春の花の時期に雑木林の中で楚々として咲く姿はとても可愛らしいです。
その姿を見るたびに、身近に楽しめるといいのに、とずっと思っていました。
雑木林に生育するほかの植物と一緒に植えると相性抜群です!
この苗は栃木県那珂川町で「きこり」をやっている友人が、自分の山から枝を採取して挿し木繁殖したものです。
まだ数は少ないですが、少しずつ繁殖しています。
※関連ブログ:「アベリア・キネンシス」