ハゴロモガシワ
カシワの木の変種(園芸品種)にハゴロモガシワ(Quercus dentata f.pinnatifida)という珍樹があります。
イトガシワとも呼ばれています。
カシワの葉に深い切れ込みが入る品種です(羽状深裂)。
よっぽど樹木が好きな人でない限り、見たことがないのではないかと思います。
来歴は分かりませんが、昔からある品種のようで、江戸時代後期の類書「古今要覧稿」(1821~42)に記述があると、「樹木大図説」(上原敬二著、有明書房)に書かれています。
「樹木大図説」にはさらに“野生はなく栽培品のみ。接木によって増殖する。上田市川上直人氏の庭には相当の大木ありという”とあります。
おそらくどこか(長野県内か?)で発生した突然変異種が、接ぎ木によって辛うじて継承されてきたのだろうと思います。
繁殖は、普通ミズナラに接ぎ木するのですが、これがなかなか難しく、活着率はよくありません。(カシワにも接げると思いますが、私は試したことがありません。)
そのため、流通量も少なく、このことがあまり知られていない大きな要因の一つなのかもしれません。
羽状に深く切れ込んだ葉は独特の雰囲気で、お気に入りの樹木の一つです。
毎年少しずつ繁殖しています。
※販売品目に追加しました。
※関連ブログ:「ハゴロモガシワの黄葉」、「ハゴロモガシワの新葉」