モミジの接ぎ木

モミジの接ぎ木は、一般的な落葉樹で行われる春の切り接ぎでは活着率が悪いため、接ぎ木の解説書などによると、穂木・台木ともにその年に伸びた新梢を使用して行う「緑枝接ぎ」(5月下旬~7月下旬が適期)が紹介されています。
しかし、今まで「緑枝接ぎ」をしているのを見たことも聞いたこともありませんでした。
そこで、モミジ専門の生産者は実際にどのような接ぎ方をしているのか知りたくて、所属している埼玉県の川口・岩槻・大宮地区等の生産者で作る「庭園緑化推進昭和会」のメンバーの中のモミジの専門家にご教授をお願いしたところ、快くお引き受けくださり、“接ぎ木をはじめたよ!”との連絡を受けて、取材に行ってきました!(取材日:2016/8/3)

モミジ専門家の接ぎ木の方法は、「緑枝を使った腹接ぎ」でした!
(「緑枝接ぎ」をされている方もいらっしゃると思います。)
モミジの接ぎ木腹接ぎとは、台木の側面に接ぐ方法で、通常は春か秋に行います。
梅雨明け直後の時期に、新梢を使って腹接ぎする方法は、どの接ぎ木の解説書にも書かれていません。
しかし、モミジの生産者の間では昔から普通に行われてきた方法のようです。

穂木は伸長が止まった新梢の先端を3~4節つけてカットし、その場ですぐに葉を落として水に浸け、乾かないように発砲スチロールの箱などに入れます。(温度が上がらないように保管すれば3日程度は使用可能)
新梢でも太く育ったものは、来年の花芽を持っている可能性があるため、細めのものを選びます。
接ぎ木する時は、接ぐ分を小分けしながら取り出して作業を行います。
モミジの接ぎ木 モミジの接ぎ木台木は、発芽2年目(昨年発芽)の0.7~1.0m程度に生長した苗で、居接ぎ(台木を畑に植えたままの状態で接ぎ木する方法)していきます。

最初に3~4本の台木に切れ込みを入れます。
モミジの接ぎ木その後に穂木を調整して、台木に差し込みます。
モミジの接ぎ木 モミジの接ぎ木 ※ナイフは我が社特製の接ぎ木ナイフです!(大好評!)モミジの接ぎ木 モミジの接ぎ木

作業は二人一組で、もう一人が接がれたものにテープを巻いていきます。
モミジの接ぎ木 モミジの接ぎ木テープは切り口のみを結束して、穂木の上部は露出したままです。
春の切り接ぎではビニール袋を被せたり、蝋付けしたりして、穂木の乾燥を防止する措置をするのですが、この方法ではそのままです。モミジの接ぎ木

モミジの接ぎ木・接ぎ木テープを巻いているところ。元のテープは直に地面に置くと汚れてしまうので、地下足袋の上に置いています。

春は掘り取り等で忙しくて時間が取れないため、モミジの接ぎ木は専らこの方法で今の時期に行っているそうです。
Aさん、お忙しいところ、本当にありがとうございました。

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