ヒマラヤヤマボウシ‘マウンテンムーン’
ゴールデンウィークの頃から咲き始めたヒマラヤヤマボウシ‘マウンテンムーン’(Cornus capitata‘Mountain Moon’)がまだ咲いています。
もう一月(ひとつき)咲いています。
この花は本当に寿命が永いです!
ヒマラヤヤマボウシは、中国からヒマラヤ地方に分布する落葉~半常緑のヤマボウシの仲間です。(都内ではほとんど落葉せずに冬を越します)
花は白というよりクリーム色で、ほのかに黄みがかっています。
そのためキイロヤマボウシとも呼ばれることがあるようです。
マウンテンムーンは、ヒマラヤヤマボウシの中から花が大輪のものを選抜して命名した品種です。
安行(川口市)のしばみち本店の柴道昭氏が、30年以上前に何度もブータンを訪れて、花の大きな個体を山中から選び出して作出した品種です。
調査によって花の大きな個体を16本選出して、1号から16号と仮のナンバーをつけて、さらにそれらの花を比較して、最終的に花が最も大きく、花弁(正確には総苞片)が幅広の個体3本を選び出してマウンテンムーンと命名したのです。
ブータンの農場でこの3本から挿し木繁殖して苗を作り、できた苗を日本に持ち帰ったものが、現在のマウンテンムーンの親木です。
命名者は、ベニバナエゴノキ‘ピンクチャイムス’の名付け親であるアメリカ人のアジア植物研究家のBarry Yinger(バリー・インガー)氏です。
命名する頃にちょうどサツキの‘山の光’という品種が流行っていたので、その名前にヒントを得て名付けたそうです。
ヒマラヤヤマボウシは、半常緑なことと木が大きくなることが要因のためか、常緑ヤマボウシ(Cornu hongkongensis)に人気を奪われていますが、もっと普及してよい魅力的な樹種だと思っています。
樹形に風格があり、開花期間も永く、秋にオレンジ色に熟す果実も可愛らしく、魅力に溢れています。
とりわけマウンテンムーンの花は大きくて見事です!
シンボルツリーとして最適なので、是非とも多くの人達に楽しんでもらいたいものです。
〈以下、マウンテンムーン選出過程の記録〉 資料提供:柴道昭氏
※関連ブログ:「ヒマラヤヤマボウシ‘マウンテンムーン’の果実」(こちら)、「ヒマラヤヤマボウシ‘マウンテンムーン’の花:2016」(こちら)