半矮性イチョウの黄葉

半矮性(semi-dwarf)のイチョウ‘中村’(Ginkgo biloba‘Nakamura’)が綺麗に黄葉しています。
半矮性イチョウ‘中村’このイチョウは茨城県常総市(旧結城郡石下町)にある中村美芳園が、たくさんの実生の中から選抜した品種で、親木は土壌条件の良い畑で育てていても20年で高さ5m程度にしかならない、極めて成長の遅い半矮性の品種です。
当圃場で育てているものは、10年ほど前にその親木から穂木を分けていただいて接ぎ木繁殖したもので、畑で3年ほど育てた後にポット上げして、その後7年ほど少しずつ大きなポットに植え替えを繰り返しながら育てたものです。それでも高さは未だに1m程度に留まっています。
ゆっくりと成長するのでとても育てやすい上に、節間が詰まっているので、小さいながらも風格のある樹形になります。
イチョウは春の新緑も綺麗ですし、秋の黄葉は抜群です。
‘中村’はそれを身近に楽しむことができる優秀な品種です!
半矮性イチョウ‘中村’半矮性イチョウ‘中村’半矮性イチョウ‘中村’ネットショップで販売を開始しました!

改めてイチョウについて文献を読み直してみると、とても興味深い記述がありましたので、引用して掲載します。

【イチョウ科】

イチョウ科は1属1種からなり、イチョウは裸子植物の大きなグループであるイチョウ目の唯一の生き残りである。
イチョウ目は古い歴史をもち、古生代まださかのぼることができる。
イチョウ目の植物は中生代ジュラ紀(2億1200万~1億4300万年前)のころに最も栄えたが、中生代の終わりまでには恐竜とともにそのほとんどが絶滅し、新生代第三紀(6500万~170万年前)には現生のイチョウただ1種になったようである。

イチョウは中国原産といわれるが、古くから中国、朝鮮半島、日本で仏教寺院などよく植えられ、各地に巨木がある。
日本には、地質時代に自生種が滅びた後、6世紀半ばの仏教伝来とともに渡ってきたと考えられている。

発根性が非常に強く、かなり太い枝でも挿し木が可能であることから、布教僧が寺院建立の地に旅の間使っていたイチョウの生枝の杖を突き立てたものが根づいたという説もある。
また、種子の銀杏も乾燥さえしなければ発芽率はたいへんよく、苗も丈夫である。

第二次世界大戦後、一面焼け野原となった東京で、一番初めに芽吹いた木がイチョウであるという。
コルク質の厚い樹皮と発根性、萌芽性が、この木を今日まで生き永らえさせたのだろう。

(出典:「週間 朝日百科 植物の世界」より)

※関連ブログ:「半矮性イチョウの黄葉:2016