2015年11月2日 / 最終更新日時 : 2016年7月19日 yazawa-nursery 植物情報

ナギ（梛）の木を結婚記念日に贈ろう！

“ナギの木を結婚記念日に贈ろう！”という「ナギ（梛）・プロジェクト」を始めます！
近々、ウェブサイト内に「ナギ（梛）・プロジェクト」のページを開設いたします。
・結婚記念日に贈るナギ・キューブ（近々ネットショップにて販売開始！）

今年ハウス内で育てているナギが、初めて実を付けてくれました。
今までナギ（Podocarpus nagi）については、“陽の当たらない場所でも生育できる数少ない極陰植物の一つ”、ぐらいの認識しか持っていませんでした。
結実したのをきっかけに改めて調べてみると、とても興味深い植物で、日本人との深い関わりが昔からあるので、しっかりとスポットを当てて、魅力をお伝えして、暮らしの中に取り入れていただきたい、と強く思うようになりました。

ナギはどんな樹木

ナギはマキ科マキ属（文献によってはイヌマキ属）に含まれる針葉樹です。
この属の植物は世界中に約100種ほどありますが、日本にはイヌマキとナギの2種だけです。
ナギは葉の形が披針形（平たくて細長く、先の方がとがり、基部の方がやや広い形）から楕円状披針形で、幅が1.5～3㎝もある特殊な形をした針葉樹です。
雌雄異株で、雌木にのみ実がなります。
伊豆諸島の式根島および紀伊半島南部から西の海岸近くの暖地に生え、高さ10～20ｍになる常緑高木です。
生長は非常に遅く、60～70年で高さ15ｍ、径30㎝程度とのことです。（「樹木大図説」より）

ナギは神社木

ナギは神道との結びつきが強く、古来、神社仏閣によく植えられ、とりわけ古い神社には必ずといってよいほどこの木が植栽されていて、古木や林が天然記念物などとして保護されています。
最も有名なのは奈良の春日大社のナギの純林で、約10㌶もの林が広がっていて、樹齢1,000年を超えるものもあるそうです。
また、和歌山県新宮市の熊野速玉大社のご神木のナギ（雄木）も有名で、国の天然記念物に指定されていて、推定樹齢1,000年を超える国内最大のナギとされています。
このように神社仏閣に多くあるのは、ナギが熊野権現のご神木であることから、熊野信仰の広まりとともに全国に植えられたのが始まりだと考えられています。（「週間朝日百科　植物の世界」より）
そして、民族学者の中山太郎氏によると“出雲より熊野神を紀伊にうつす時、神霊をナギの木に憑けた、これから熊野神社の神木となった”とのことです。（「樹木大図説」より）

ナギの葉に夫婦の縁が切れぬように願いを込める

ナギの葉には縦に平行する脈がたくさんあって、強く引っ張ってもなかなか切れません。
そのため、“ナギの葉は筋強く、いくら引いても切れぬから力柴（チカラシバ）と呼ぶ。したがって夫婦の縁も切れぬよう、離れていても相忘れぬよう、と鏡の底に蔵めて守りとした”そうです。（「南方熊楠全集　第6巻」より）

鎌倉幕府を開いた源頼朝は、父・義朝が平治の乱で敗れた時に伊豆国に流され、その時に伊豆権現（伊豆山神社）のナギの木の下で北条政子と逢瀬を重ねて結ばれ、変わらぬ愛の証として、二人でそれぞれナギの葉を持ち合っていたと言われています。
そして、その伊豆権現のナギの葉を持てば災いを逃れ、鏡に敷けば夫婦の仲が変わらないと伝えられています。（このナギは天保三年：1832年の大嵐で倒れ、現在はその後継樹となっています）

また昔は、ナギの葉を鏡の裏に入れておくと会いたいと思う人の姿が鏡面に現れるという迷信があり、鏡に関する伝説の中にナギが多く引用されています。
さらに、ナギ（凪）とは海の静かなことであり、鏡面の如く平静になるところから家庭に波風のないことを意味したとも考えられているそうです。（「樹木大図説」より）

このようなナギの木を、是非とも結婚記念日のメモリアル・ツリーとして、大切なパートナーや家族・友人などに贈っていただき、夫婦の縁を再確認し、さらに強めるきっかけにしていただけたらと思い、「ナギ・プロジェクト」を始めることとしました。
・結婚10周年の茨城県つくば市のＩさんご夫婦
水やりは幼稚園に通う娘さんの担当で、“お父さんとお母さんがいつまでも仲良しでいられますように！”と願いを込めて水をあげるそうです。